『ブラック・ダリア』と脚色にいちゃん

晩飯を食べると猛烈に眠くなった。しかしいくらなんでも八時前に眠るのはマズイだろうと思い、眠気を振り払うために映画館に行く。正直、シンドイ映画は眠るなと思い、ブライアン・デ・パルマの『ブラック・ダリア』を観る。デ・パルマの映画なら途中で眠ってしまってストーリー少々分からなくなっても(つまらなくても・・・)、『かっちょイイ』カットを眺めてくるだけで、「ま、いっか」で諦められるだろう。これも、デ・パルマの才能か・・・。
案の定うつらうつらしながら観終って映画館から出てくると、前を歩く若いカップルの会話が聞こえてくる、どうも女性の方が彼氏に今の映画のストーリーの説明を求めているらしい。したり顔で彼氏は答えているんだけど、なんだか答えのピントがズレている。というか彼氏、自分でストーリーを作っているじゃねぇか。しかもかなり大胆に!そのあまりの脚色のぶっ飛びぶりに、後ろを歩きながらついつい私も「で、次、どうなったのよ」と、思わず聞きそうになる。だってデ・パルマ初期の快作『ファントム・オブ・パラダイス』も真っ青の展開とキャラクター説明なんだもん。それでも彼女の方は彼氏の説明を納得した顔で聞いているんだからこれまたびっくり!こいつら二人とも映画なんか観ないでもっと楽しい事していたに違いないと内心思いつつも、これくらいぶっ飛んだストーリーでも今時の女の子は納得するのか!と真面目に思ったりもする。しかしまぁ、楽しい二人のデートには映画のストーリーなんてどうでも良いっつう事なのでしょうけどね。
で、肝心の感想なんだけど、エピソードは詰め込みすぎ、伏線の演出はあからさま、今ひとつメリハリに欠ける、とちょっとがっかりの感は否めない。だけども説話論的な感想は、カップルに限らず、デ・パルマにはもっともどうでも良いものなのかもしれない。結局、デ・パルマらしいカットが二、三箇所あっただけで私としては「ま、いっか」という感じですな。