進歩か退化か

あちこちのいろんな人のブログを覗いていた時、ふと「そういやぁ日記モノの本を読むのが好きだったよなぁ」と思い出した。基本的に人の日記を読みたくなるというのは、その人に興味があるという事なんだろうけど、どうもあんまり上品な感じがしないのは気のせいか・・・。しかし、そういう事を考えているとブログの存在理由という事までも考えなければならなくなるから止める。
で、ガキの頃はさておき、記憶に残っている日記モノの最初の本といえば、今は亡き田山幸憲の「パチンコ日誌」かエリック・ホッファーの「波止場日記」か・・・。どちらも何度も読み返した記憶がある。「波止場日記」はまだしも、今となってはなんで「パチプロ日誌」まで読み返したのかさっぱり分からない(もちろん当時ほぼパチプロだった私にとって「パチプロ日誌」はバイブルではあったのは間違いないのだけれども)。その「パチプロ日誌」といえば、生みの親ともいえる末井昭の「絶対毎日スエイ日記」も思い出される。あのなんともいえない『まっとうではない大人』の雰囲気は、当時の(今も・・・?)自分の『まっとうでなさ』と重ね合わせて読んだ記憶がある。ここ数年では「ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記」か。流石に今となってはもはや「論理哲学論考」や「哲学探究」を再び読んで格闘するのは無理。それでもこんなに頭の良いおっさんの日記ってどんなんだったのだろう?という興味本位で読むだけでも面白い。
それにしても、『まっとう』な読書にしろ『真剣勝負』のパチンコにしろ最近は全くしなくなってしまった。これは進歩なのか退化なのか・・・

貧しい読書

ここ数年すっかりまともな読書などする習慣は無くなっていたので、読む本と言えば暇潰しの文芸誌か総合誌という貧しい状況であった。
で、最近ちょっと面白かったなぁというのが、新潮の三月号の四方田犬彦氏の「先生とわたし」という作品。彼がその師である英文学者の由良君美との関係を振り返りながら、「師と弟子」という問題をジョージ・スタイナーや山折哲雄の書物やフッサールハイデガーそしてハンナ・アーレントの関係、あるいはダンテの『神曲』を用いて鮮やかに(と言うよりも誠実にといった方が適切か・・・)描いている評論なのである。
中でも私が興味深かった一節は、四方田氏が韓国への渡航を当時の師の一人であるH氏に報告したところで、その時H氏は「不愉快ですね。・・・韓国にも映画はあるのですか」と述べ、その事をきっかけに四方田氏はH氏と決別するという箇所である。常々映画批評家で元某最高学府総長のH氏門下生といわれる監督たちがいつまでたっても「H先生H先生」と言うのを「ガキじゃあるまいし・・・」と思っていたところを、むしろ直系の弟子といってもよい四方田氏が冷静にそして一刀両断に切り捨てているのは爽快な気がしたし、これが師を超える一つの方法なのではとも思ったのである。

話は全く変わるが、ここのところ文学界の映画評にゲストで鈴木則文監督が対談に参加している。ホスト役の中原昌也氏は小難しい理屈は捏ねない方ではあるが鈴木監督のつきぬけ方には敵わない。さすがトラック野郎
御意見無用!

スープカレーと『ドリームガールズ』

生まれて初めてスープカレーというモノを食べた。
今まで絶対にこんな変なモノは食べないぞと心に誓っていたのだけれども、先日なぜか無性にそれが食べてみたくなったのだ。そこで前に知り合いに聞いていた『PICANTE』というお店に行ってみる事にした。するとなんとめちゃ混み。店の中はもちろん外までも、そしてその前に駐車している車の中にも待っている人がいるではないか!並ぶのが死ぬほど嫌いな私は何度か時間をおいて店の様子を探るもお客さんが途切れる気配もない。で、結局姉妹店の『XY象SA』というお店に行く。こちらは場所も少々外れた所に有るので並ばずに入店。それでやっと生まれて初めてスープカレーが食べられました。
感想。スープカレーって単にカレーのスープなのね。当たり前だけど・・・。


でもって、「ドリームガールズ」を観てきた。
予想を全く裏切らない展開なのに飽きさせない作りと能動的でイケイケ攻め攻めの演出は良くも悪くも今時のハリウッド的(と本当は一概に言ってはいけないのだろうけれど・・・)。しかしそんな中でも控えめなビヨンセはカッコ良かった!ちなみに映画館は大混雑。並ぶのも混雑も嫌いなのよ、私は・・・。

渋滞と『叫』

並ぶのが嫌いである。
札幌市内は今、夜になるとテレビ塔横を走る石狩街道の工事の為に3車線から1車線になっている。そしてこの通りは深夜12時頃でもすすきのからの帰りのタクシーと合流するため結構な渋滞となるのだ。まぁしかし渋滞と言っても都心に比べれば「屁」みたいなもの。だから全然大した事ない。東京の人ならこれくらい渋滞なんて言わないだろう。でも並ぶのが嫌いな私はイライラするのだ。何が嫌いって車だろうがラーメン屋だろうが並ぶのが大嫌いなのだ。並んで旨いラーメンを食べるくらいなら、カップラーメンでも食った方がましである。


で、シアターキノに行って来た。ここは良い映画館なんだけれど、上映前に小さなロビーでちょっと並んで待つのが嫌なのだ。ほんの少しの時間なんだけれどもなんか嫌なのだ。しかも私が観ようとしたものに限って混んでいる。いくら並ぶのが嫌とはいえ、その代わりも無い事だから大人しく並んではいるのだけれども、平日の昼間に大半が女性客の中に男一人はちょっと辛いのだよ。まぁそんな事は言っていられないんだろうけれども・・・。


それで観て来たのは、黒沢清監督の『』。
ちょっとした感想。
ちょい役のオダギリジョー葉月里緒奈の演出に少々首を傾げざるを得ない所はあったのであるが(前者は何もやっていないし、後者は何かをやろうとして空回りしている感は否めない)、そんな些細な事はそれほど重要なことではないのだろう。それよりも、同一カット(ワンカット)で撮らなければならない所、あるいは安易に寄ってはいけないカット、言い換えれば、見せなければいけない所と見せてはいけない所、そこにどうこだわるか、その重要性をどう認識しているか、そこが監督としての腕の見せ所(というよりも資質と教養の問題)なのだと私は常々思っているのであるが、それを巧みにそして意識的に演出しているところがなんとも「黒沢清監督やるなぁ」という感じである。もう完全に「黒沢」といっても「明」じゃなくて「清」の時代なのだ。
とかなんとか青臭い事を書いたけど、ミステリー嫌いの私にも単純に楽しめた映画だった。そして何よりも子犬のような小西真奈美が可愛いかった!ラブシーンで脱いじゃうんじゃないのかとドキドキしちゃいました。

ZeppでZappy

この前の日曜日はZEPP SAPPOROZappy Soulの撮影に行ってきた。ライブはもちろん素晴らしいのであるが、楽屋で彼女たちと過ごすのがなんといっても楽しい。この半年の間に何度か彼女たちの撮影に行っているのだけれど、毎回毎回笑いが絶えた事が無い。いつも本番前に疲れてしまうのではないかとこちらが心配してしまう程のハイテンションなのである。一見迫力ある姉御系だがめっちゃコミカルなMihoさん。サービス精神旺盛で常に笑いをふりまいているAkiさん。そんな二人を横目に常にマイペースなBigmamaZappy Soulのファンの方々が、いやいやそうでない人も、素顔の彼女たちを知ればもっと好きになるのではないかと私は常々思っているのである。


で、彼女たちのライブを観ていたら、同じ女性三人ボーカルグループのストーリーである「ドリームガールズ」を観に行こうかなぁと思ってしまった。でも黒沢清監督の「」も札幌での公開初日だし、いろいろとお世話になっている方が関係している「蒼き狼」も観に行かねばならないし、さて今日はどうしよう・・・。

『明日へのチケット』とセルティック

待望の「明日へのチケット」をシアターキノで観て来た。めったに誉めない相棒(id:Mr-Blockhead)が東京で昨年秋にこの映画を観て非常に良かったと言っていたので密かに期待していたのである。私としてもエルマンノ・オルミアッバス・キアロスタミケン・ローチの三人の監督がオムニバス形式とはいえ一本の作品をどうやって作ったかが非常に気になったし、またキアロスタミの作風がこういう映画でどんな風に調和されているのかも興味深かった。
で、観終わって、意外というかまたしてもというか、結局一番グッときたのはケン・ローチが監督した部分であった。まぁオチにあたる部分という事もあるのだろうけれども、しかしあの演出力は素晴らしい。単なるガキの物語にさせない所も凄いし、最後のオチというか結末の持っていき方も見事と言わざるを得ない。以前にも書いた事があるのだけれど、私個人的にはケン・ローチはあまり好きではないのである。けれども彼の映画を観るとなぜかいつもグッときてしまう。こうなってくると「嫌い嫌いも好きのうち」という事なんだろうか・・・。
ついでだけれども、この映画を観たらそれまでほとんど興味のなかったセルティックを応援したくなってしまった。今週のチャンピオンズリーグ中村俊輔が率いるセルティックを応援しよう。きっとスーパーの店員の彼らもイタリアまで応援に行っていることだろうから・・・。

かつてのスキー熱と観なかった映画

最近、観ようと思って観なかった映画、「バブルへGO!!」。なんでこんなの?と思う人も多いと思われるだろうが、私の興味はただ一つ、あの「私をスキーに連れてって」のホイチョイ・プロダクション馬場康夫が久々に撮っているという事だけである。この人を「映画監督」と定義するのかというところも問題有りかもしれないし、映画好きな人からすればなんじゃそりゃって感じかもしれない。しかし、私にとってはそんな「映画」としてよりも一つの「時代」としてなぜか忘れられないのである。
1980年代の後半に「永遠の二分の一」という佐藤正午原作・根岸吉太郎監督の映画があったのを覚えている人はいるだろうか?当時学生だった私はかなりの期待をして観に行ったのだ。内容はもうすっかり忘れてしまっているが、確かちょっと期待はずれで見終わった後に少々がっかりしていたはずである。しかしその時に同時上映で強制的に「私をスキーに連れてって」を見せられたのだ。そのあまりに脳天気な話の脳天気な映画に、観終わった後に「なんじゃこりゃ」と色々な意味で驚きしかし純粋に楽しんだのを思い出すのだ。
バカで乗せられやすい私は、それまで「北海道を離れたらスキーなんかやらねぇよ」なんて言っていたのをすっかり忘れ、またぞろスキーを始めてしまったのである。思えばあの頃はバブルだったし、スキーも盛り上がっていた時代だったのだろう。今日はAPPI、明日は蔵王、明後日は雫石。挙句の果てにはリステル猪苗代でW杯のモーグルを観て、あまりに興奮したのでナイターでもコブ斜面が滑れた栗子国際スキー場へ、などという一日にスキー場の連荘なんて事までやっていた。本当にバカである。ホイチョイから「極楽スキー」なんていう本も出ていたのを覚えている人なんているかなぁ?そんなこんなで「バブルへGO!!」を観に行こうかな?と思ったけれど止めた。今週から「明日へのチケット」が上映されているから、それを観に行く。